豪運を兼ね備えた新参者、FN-SCAR
アフガン・イラクで猛威をふるったFN-SCARは、他社の部品調達の遅れや、露骨なロビー活動に対する反発という珍しい理由で軍に正式採用された珍しいライフルです。無論、軍用選抜のトライアルに見合った性能を有してはいるのですが、ここまで露骨に性能を無視した選定が行われるのは非常に珍しいといえます。
特筆すべきはその拡張性です。FN-SCARでは、バレルなどの一部の部品を交換することで使用する弾薬を変更することができます。SCAR-L(ライト)は5.56x45mm NATO弾を使用し、SCAR-H(ヘビー)は7.62x51mm NATO弾を使用します。
さらに、バレルの長さにもバリエーションがあり、ショート、スタンダード、ロングの3種類が、それぞれSCAR-LとSCAR-Hに用意されています。これにより、市街戦やCQB(近接戦闘)ではショートバレルを使用し、砂漠などの遠距離戦ではロングバレルを使用するといったように、戦場の状況に応じて適切な銃に切り替えることが可能です。これにより、別の銃を使用する必要がなくなり、補給の簡略化が図れます。
この拡張性は軍隊の運用上非常に強力なメリットとなります。銃の操作自体は変わらないため、兵士の教育コストも削減できます。
FN-SCARは、その性能や拡張性により、多くの軍隊や特殊部隊に採用されている優れたアサルトライフルとして評価されています。
もともと室内や車内での戦闘を想定したFNCをベースに開発された銃でしたが、もはや銃身の素材までもが変わり、度重なる近代化によって全く別物となってしまいました。しかし、作動不良に備えたガス調整弁の存在や、製造コストを抑える工夫、さまざまなアクセサリーを取り付けられるボディ、狙撃から近距離戦までこなせる自由度の高さなどは高く評価されており、FNCの面影があるか否かは別として、軍用ライフルとして非常に高い評価を受けています。 2003年に開発されたばかりの新参者ですが、それゆえにまだまだ改良の余地があり、今後も発展していくライフルであると思います。
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